「このアルバムには無限の感覚が詰まっている」−−MAKI MANNAMI
「ファンとして早く次のアルバムを聴きたかった」−−須永辰緒
MAKI MANNAMIのセカンド・アルバム『The World of Sense』が10月3日にリリースされる。プロデュースを手掛けるのは、彼女のことを「才女にも程がある」と絶賛する“レコード番長”の須永辰緒。JAZZYなナンバーから、フロア・チューンまで揃った作品に仕上がった。彼女は歌声だけでも凄いのだが、なんと作詩・作曲、アレンジ、演奏、プログラミング、エフェクト処理までをも手掛けている。ここではこの傑作を生み出し、野外イベント『Flying Jam Summit』にも出演するふたりに登場してもらった。
声そのものが楽器である
幼少から作詞・作曲、声楽、舞踏、絵画と幅広く表現に取り組んできたMAKI MANNAMI。彼女の歌からは、歌われている物語の風景が見える。とてもシアトリカルだ。19歳でミュージカルの舞台を目指してニューヨークに渡った経歴の持ち主だが、音楽的にボーダーレスで、総合芸術であるミュージカルは、彼女に大きな影響を与えているという。歌うだけではなく、作詞・作曲、アレンジ、ピアノ演奏、プログラミング、エフェクト処理などをひとりで手掛ける彼女は「もともと普通の歌ものをやるつもりはない」と語る。4オクターブの声域を持ち、スピリチュアルでエモーショナルな歌声に対しても「楽器の一部として使いたい」と、作り手として総合的な目線で歌をとらえている。
「声そのものが楽器であり、サウンドの中に混ざっていくようにしたいと思っています。歌詞もひとつの要素です。曲の構成が凝っていて、そこにみんなが口ずさめるようなきれいなメロディが出てくるおもしろい歌ものを作りたいですね」
ただのヴォーカリストではなく、様々な音楽、または音楽以外の芸術的背景をバックボーンにした構成力で、歌のドラマツルギーを紡いでいくアーティスト気質が伺える。
芸術とエンターテインメントの凌ぎあい
この度、MAKI MANNAMIのセカンド・アルバム『The World of Sense』がリリースされる。類い稀なヴォーカリストとしての才を持ち、総合芸術としての美しくも混沌とした歌を作り上げていく才女・MAKI MANNAMIをプロデュースするのは須永辰緒。ジャズ・コンピレーション・アルバム『須永辰緒の夜ジャズ』シリーズや、MIX CDシリーズ『World Standard』の監修を始め、DJ、プロデューサーとして活躍する日本が誇る“レコード番長”だ。
「信じられないくらいCDを買う」という須永辰緒が、ある日30、40枚まとめて買ってきたCDのなかに彼女のファースト・アルバム『Journey of Higher Self Liberation』があったことが出会いのきっかけだった。
「その日買ったCDのなかに1曲、特にその1部分が光るアルバムがあった。それが彼女のファースト・アルバム。いつまでも忘れられないくらいの輝きを放つ曲は珍しいんですよね。そこで、自分がやっているFMラジオの番組に来てもらったんですよ」
MAKI MANNAMIは言う。「そのアルバムはグロかったのですが、もっとポップなものを辰緒さんはお好きなのかなと思っていたんですよ。そうしたら、1番コアなパートを好いてくれたのでびっくりしました」
この出会いから2年が過ぎた頃、須永辰緒はとあるスタジオでMAKI MANNAMIのフライヤーを目にする。早速、連絡を取ったところ、セカンド・ア
ルバムのリリース予定がたっていないことを知る。
「じゃあ、次のアルバムを出せるように手伝いますよと。押し掛けですよね。最悪は実費でなんとかしようと思っていました。ファンとして、早く次のアルバムを聴きたいからリリースして欲しかったんですよ」
こうしてリリースが実現した本作には、ニコラ・コンテの他、菊地成孔、SOIL&"PIMP"SESSIONSの丈青、quasimodeの平戸祐介ら今の日本のクラブ・ジャズ・シーンを代表するそうそうたるミュージシャンが集った。
「今回はほとんど全部が生演奏になって、音を通じて人とコミュニケーションするということができた。それはものすごく自分のなかで大きかった」とMAKI MANNAMIが言うと、須永辰緒は、「今回のアルバムの制作で、自分が一番考えていたのはバンドのメンバーを固定することと、ゲスト・ミュージシャンの立ち位置を曲ごとに明確にすること。そういうディレクションを自分がやればいいかなと。あとは彼女が自由にやってくれればいい。だから演奏のジャッジはしましたが、ボーカルやアレンジには何も口を出していません。しっかりしたものを作れば世の中に認知してもらえるだけの実力はとっくにあるアーティストなので」と返す。
本作はMAKI MANNAMIのエッジな芸術家気質と、あらゆる音楽を聴き尽くしたうえでエンターテインメント性の大切さを知る須永辰緒のプロデュース・ワークが、絶妙なバランスで凌ぎあっている。じっくりと聴いて歌の凄みに驚くもよし、グルーヴィなジャズのリズムに乗って踊るもよし、といったところだ。
ルー・リードや、サラ・ブライトマンなど3曲のカヴァーも収録されているが、このアイデアは須永辰緒からの提案だったという。「みんなが知っている曲を収録することでエンターテインメント性を高め、より多くの人に聴いてもらうため」のものだ。彼女は人の曲のカヴァーに興味がなかったというが、今回は「原曲を超えることを目標」に挑戦した。
「辰緒さんのアイデアがクラシックあり、ロックあり、フュージョンありで面白かった。カヴァーはアレンジ力が問われるので、そこで勝負もしてみたかったですね。出来には満足しています。これから自分の曲をアレンジしていくうえで糧になりましたね」
ぜひ、このスリリングでエンターテインメントなジャズを感じてみて欲しい。
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