SFロボットアニメの代名詞『機動戦士ガンダム』。シリーズの最新作『機動戦士ガンダム00〈ダブルオー〉』は、現実と連続した世界を舞台に「ガンダムマイスター」と呼ばれる主人公たちがガンダムを操縦、戦争根絶を目指し、平和を追い求める物語だ。
壮大なスケールで人間の根源的テーマに迫るNEWガンダムは、コアなファンだけでなく、広く話題になっている。こうした人気、ファンの熱望から、08年1月25日に早くもDVDとして発売されることになった。
そこで、『機動戦士ガンダム00』の水島精二監督、08年1月から新しいオープニング曲を担当するthe brilliant greenとのスペシャル対談が実現!作品に懸けるクリエーターの熱い想いがぶつかりあった。
水島精二監督とthe brilliant greenの出会い
Tommy「初めてお会いしたのは、8月下旬でしたよね?」
水島精二監督(以下:水島)「そうですね」
Tommy「お会いできるからには、ガンダムのオープニング曲を私たちで決めてほしい!っていう意気込みと、緊張していたのを覚えています」
奥田俊作(以下:奥田)「初対面でしたからね(笑)」
水島「僕は“曲を作ってもらわなきゃ”って意気込んでいました。『楽しんで作ってもらえればいい』って何度も言ったのを覚えています」
奥田「実際に(会って)お話できて、よかったと思います」
水島「直接、話をする方が伝わりますもんね」
Tommy「そうですよね。監督の思っていらっしゃることがダイレクトに伝わったので、曲のテンポ感や歌詞の世界観が理解できたし、焦点が絞れたので後の作業がやりやすかったです」
水島「ブリグリならではの曲であって欲しいと強く思っていて、できあがった曲を聴いたら、想像していた以上にすごくかっこ良かった。思わず“キタッ!”って感じました」
Tommy「うれしい!」
奥田「最近は便利ですね。コンピューターで映像を観つつ、音を合わせることができる。いろいろなバージョンを試してみました」
Tommy「でも今回の曲は、どの画に合わせてもすごく合うんですよ」
水島「サビの部分のテンポが少しゆっくりになりますよね。だから逆に、サビ部分の画は激しい戦闘シーンにしました。曲を聴いて、絵コンテでムービーを作って合わせてみたら、すごくいいカンジだったんです。むしろあのテンポに乗せるために、あまりカットチェンジをせず、メカが入れ替わる構成にしようと思ったんです」
メンバー全員「へぇー!」
水島「ブリグリの世界観とガンダムが合わさるというのは、意外なんじゃないかな?」
奥田「本当ですよね」
Tommy「やるからには徹底してやりたいって、メンバー間で話し合いました。でもthe brilliant greenというバンドは、“ミディアム”とか“バラード”などのしっとりしたイメージなので…。“Tommy heavenly6”というプロジェクトが、ハードな音や早めの曲をやっていたので、その方向でなら“やれる!”とは思いました。作るからには(監督や関係者の方に)喜んでもらいたいって気持ちもあり、バッチリ合うものを作ろうと決心をしました」
奥田「どういう曲調にしていくかという作業よりも、ガンダムの世界観をブリグリとしてどう捉えるかという話し合いを結構しましたね。全員が納得してないと、前に進めないので」
Tommy「お話ししてみて、最近自分が抱えているテーマと、ガンダムのテーマに共通している点がたくさんあるなと思いました。例えば“矛盾”だったり。なので無理なく言葉がどんどん出てきました。デモテープと映像を合わせながら作詞しました。そしてインスピレーションから、自分のフィルターを通して言葉にしました。すごく書きやすかったです」
水島「歌詞がガンダムの画とすごくリンクしていると思ったし、純粋に“いいな”って感じました。でもTommyさんが書かれる詞だったら、何を持ってこられても全然大丈夫だって思っていましたよ(笑)」
Tommy「ガンダムって、テーマが大きいじゃないですか。どうしようもないせつなさだったり。私のイメージだと、空に蓋がされていて、出たいのに出られないって…」
水島「行き詰まり感だったり、閉鎖感とか」
Tommy「そうです!そういうイメージが、私の心の中の世界観と合ったんです。ガンダムの場合、その私の矛盾だらけのいわれのない悲壮感をそのまま表現しても大げさにならないんですよ。元々のテーマが壮大だから、そう聴こえないんですよ」
水島「いい曲をいただいたので、頑張らないとなって感じています」
クリエーターとして大事にしていること
Tommy「いつも3人で言っているのは、自分たちが納得して、カッコイイなって思うものじゃないと、出しちゃダメだよねってことです」
奥田「こだわりというか、やっぱり作品を世に出す立場の人って、受け手のことを考えないとダメだと思うんです。それを見たり聴いたりした人に、どう影響を与えるのかって考えたり、やっぱりプロって“すごいな”って思わさなくてはいけないと思う。感動を残すよう、しっかり表現していかないといけないなって、常に思っています。妥協したい時もありますが、作り手としての意識を持つということを念頭においてやっていますね」
水島「そのとおりですよ。世の中に反応してもらわないことにはしょうがないですから、今できる限りのベストの力を出して作品を発表しています。出しちゃった後に『あっ、しまった!』ってことはありますが、作っている時は精一杯やるというのはプロとして当たり前。下手な妥協はしないと心がけています」
Tommy「いつも後になって“こうすればよかった”って思うんですよね」
水島「精一杯作って出して、8割の人に褒められて、残り2割に文句を言われて“ちくしょー”って思うんだよね(笑)。でも、それがあるから次が作れる」
メンバー全員「そうですよね!」
水島「ゴールってないですね」
Tommy「それぞれの価値観が違うから、これが“答え”っていうのもないし、締切がないと、いつまでも作り続けちゃう」
水島「まだやれるなって思うし(笑)」
Tommy「間に合いそうだと、やっちゃいますよね。時間がない中、プロモーションビデオのアイディアをガラッと変えたくなって、差し入れを持って制作会社にお願いに行ったことがあります(笑)」
水島「その気持ち、分かるなぁ(笑)」
Tommy「でも思い切ってやった方が、自分も納得するし、いいものもできる。違うなって思いながら準備を進めると、自分の胸がザワザワしちゃって…」
水島「違和感がありますよね」
Tommy「何でいつもギリギリになって気づいちゃうんでしょうね?」
水島「そうじゃないと入らないスイッチがどこかにあるんでしょう(笑)。それは物を作る人の共通だと思います。準備万端でやっている人って、あまり聞いたことないですよ。新しいアイディアを常に考えているからじゃないですかね」
Tommy「ひとつが決まると、そこから新しいアイディアが広がっていきますしね」
水島「思考って、数珠つなぎですよね」
メンバー全員「うん、そうですね」
水島「このアイディアが何で2週間前に出てこなかったのかな、って思うんだけど、しょうがないんだよね(笑)。俺が『あっ!』とか言うと、周りがドキッとしちゃって、その後『あぁ〜また何か言っているよ』って空気になって(笑)」
Tommy「そこは戦いですよね」
水島「スタッフに相談すると『えぇー!? 無理ですよ!』って言われるんだけど、『まぁまぁそう言わずに、数えてみようよ日数を。ほら、いける!』って(笑)」
Tommy「そう考えると、それまでの経緯は無駄じゃなくて、それがないとそこまでたどり着けないと考えるしかないですよね」
水島「その方が、いい物ができあがるんですよ」
Tommy「オープニングのシーンは、もうできあがったのですか?」
水島「いえ、まだです。ON AIRギリギリに完成しそうです。大まかなレイアウトは決まったのですが、きちんとレコーディングをした曲をいただいた後、微調整をする予定です」
Tommy「できあがりを楽しみにしています」 |