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Cover Story 荒川良々+木村佳乃Cover Story 荒川良々+木村佳乃
「“全然大丈夫”って意味は、“いろいろあるけど最後は大丈夫だよ”っていう温かいメッセージ」― 木村佳乃
「僕は“そのままでも大丈夫だよ”って思いました」― 荒川良々


大丈夫じゃない人たちの、全然大丈夫な映画

キャラクターは大丈夫ではない人ばかり

木村佳乃

 独特の存在感と演技力で観る者に強烈なインパクトを与える俳優・荒川良々。ドラマやCM、舞台で実力を発揮している“荒川良々”が、近年実力派女優として立ち位置を確立している木村佳乃、そして演技派の岡田義徳と競演した初主演映画が、08年1月下旬より公開される『全然大丈夫』。

 映画で荒川さんは30歳目前にして“世界最恐のお化け屋敷を作る”と夢見る古本屋の長男という、一癖ある男・照男を演じた。
「藤田さんが撮る世界観や映画が好きなので、それに関わることができて幸せでしたね」

 出演作は照れくさくて客観的に観られないと話す荒川さんだが、今作は2回観たそうだ。この荒川さん演じた照男が惚れるヒロインが、木村佳乃さんの演じた陰気でおまけに手先が不器用な女性・あかり。ダンボールは組み立てられない、開けようとしたティッシュ箱はボロボロにしてしまう、エレベーターのボタンを押せば指を骨折など、木村さんのイメージとは真逆のような…。
「私自身は意外に不器用というか…子どもの時にティッシュ箱が開けられなかった記憶はあります。でも、今のティッシュってミシン目がきれいに入っているので、力を入れなくても簡単に開けられちゃう。撮影で使ったティッシュは特別に加工されたものではなかったので、力を調節するのが難しかったですね」

 照男とあかりは、照男の幼なじみの久信(岡田義徳)を介して出会う。久信の勤める清掃会社であかりは働いていたが、人並み外れたドジっぷりで仕事を辞めることに。そこで久信は、照男の古本屋をあかりに紹介する。一目であかりを気に入った照男は、あかりと結婚する妄想まで描き始める。あかりをめぐって照男と久信が火花を散らす三角関係が発生。しかし、古本屋によく立ち寄る骨董修復職人の湯原(ココリコ・田中直樹)が現れたことで、事態は思わぬ方向に転がり出す。
照男、久信、湯原の、全然大丈夫じゃない3人。あかりではない一女性の木村佳乃さんなら誰を選ぶのだろう。
「選ばないでしょ、3人とも(笑)」と、間髪入れずに荒川さん。
「えぇー、どうだろう!? でも、3人とも性格が全然違うので…。それは相性ですから、分からないですね」

 劇中であかりは湯原に惹かれていく。
「初めて湯原さんに出会ったとき、一目惚れ的なものがあったと思います。彼の顔には傷があるので、つい目で追っているのですが、それだけでないものをあかりは感じていたんだと思います。それから湯原さんは一緒にいて緊張しなかった。彼女は、すごく緊張症で対人恐怖症みたいなところもある。彼に対して、そういうのがなかったんでしょうね」

 では “あかり”という女性は、荒川さんの目にはどのように映ったのか。
「結構、ドジで不器用な女性は好きなんですが…。もし、あかりさんと付き合ったら、最初は好きだから“ちょっとかわいいな”って感じるけど、後半はイライラすると思う」

藤田容介監督からのダメ出し“陽性のオーラをすべて消して!

荒川良々

 撮影が行われたのは2006年11月から約1ヵ月間。ロケが多い撮影だったという。

 植木職人という照男の仕事から、荒川さんのシーンでは、高い木に登ったり、登った枝の上で座ったりすることが多かったが、「高い所は苦手じゃないし、寒さも気にならなかった」と荒川さん。

 一方、木村さんが演じたあかりの日課は、河原で大好物のちくわを食べながらホームレス・ウォッチング。
「あかりの衣装は重ね着していたので、温かかったです。それに練り物は大好き!
撮影中もたくさん食べました。ちくわってちょっと甘いので、寒いときや疲れているときにはよかったですよ。腹持ちもいいので、空腹時はひとりで食べていました」

 寒さが気にならなかった荒川さんに対して、木村さんには寒さを痛感したシーンがあった。
「水溜りに突き落とされるシーン。それは本当に寒かった。全身泥だらけのびしょびしょで、撮影後に近くのホテルでシャワーを浴びることになったんですが、ロビーを通り抜けるのが恥ずかしくて、それが肉体的にいちばんツライ思い出です(笑)」

 順調に進んだ撮影。出演者同士の息もぴったりで、現場はさぞかし楽しかったに違いないと思えば、木村さんは自信をなくす場面もあったと言う。
「藤田監督に散々ダメ出しされました。すごく覚えているのですが、撮影2日目の夕方、監督から『少しお話がしたいです』って言われて打合せをしたんです。監督は初日に撮影した映像を家でご覧になったそうで、『まったくダメです。これじゃあ、ヤバイです。この演技は全部やめてください』って…。そこまで厳しく言われたのは、新人の時以来でした。『それでは、どうしたらいいですか?』って質問をしたら、監督ご自身も『実はよく分からない』って答えで。すごく落ち込んで、自信もなくなってしまって、荒川さんにも相談しました。すると『僕も苦しんでいますから、頑張りましょう』って荒川さんが励ましてくれて(笑)」
「アドバイスなんてできませんでしたね。僕も余裕はなかったし」
「本当に藤田監督は厳しかったですよね。『木村さんが本来持っている陽性のパワーは、すべて消してください。あかりは負のオーラを発しているので』って言われ、監督の出された指示に対し、きちんと応えようと努力している私のことを器用な人間だと思ったそうで、『あかりは手先も生き方も不器用なので、器用な部分はいらない』とバッサリ言われました」

 藤田監督の思い描く“あかり”に近づきたいと必死だった木村さんに、荒川さんが照男的にチクリと一言。
「出ちゃったんじゃない? 木村さんのオーラが」
「それって役者としてダメじゃないですか!」
「いやいや、抑えようがなかったんですよ」
「でも自分とはまったく違っていたので、かなり悩みました」

ふたりが感じた“全然大丈夫”の意味とは…

「“全然大丈夫”って、おもしろい言葉ですよね。否定と肯定が交ざっている。でも、普段よく使っている言葉なんですよね。使わない日がないほど、生活に密着している言葉。私の中での“全然大丈夫”っていう意味は、“本当に大丈夫”っていう意味。映画の中では、“いろいろあるけど最後は大丈夫だよ”っていう温かいメッセージのように感じています。撮影中もそうだったけど、映画を観終わった後も温かい気持ちになりました」

 木村さんが感じた作品テーマの解釈を聞き、荒川さんが後を受ける。
「僕は“そのままでも大丈夫だよ”って思いました。映画の中には弱い人が多く出ていますが、その人たちに“そのままでもいいですよ”って伝えている気がしましたね」

 映画は最初から最後までクスクス笑って観られるコメディ。人間の滑稽さや哀しみも垣間見られるが、随所に散りばめられた笑いやゆったりと進むストーリーから、観ている側は何となく“大丈夫”だという気分にさせられる。
「観終わって“とってもおもしろい”って思った本当に大好きな作品です。押付けがましいメッセージはまったくないのですが、何か考えさせられるような、非常に心が揺れる作品ですので、ぜひご覧になっていただきたいですね」

 木村さんに続いて、荒川さんが公開を心待ちにしているファンへのメッセージで締めた。
「ぜひ観てもらいたいですね。でも、無理して肩肘張って観るような映画ではないので、気軽に観てください」

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写真:松岡茂樹
スタイリスト:チヨ(荒川良々)、吉野耀脩(木村佳乃)
ヘアメイク:土谷郁子(木村佳乃)
衣装(荒川良々):トップス 12,800円、インナー 9,800円 LINEAMENT
衣装(木村佳乃):ピンク×オレンジ 千鳥格子カットソー(参考商品)MAX&CO.
衣装協力:MAX&CO. 渋谷区神宮前5-2-5 TEL03-3498-7201/LINEAMENT TEL03-3791-7602
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