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Cover Story 松下奈緒Cover Story 松下奈緒
「ブレーキランプ5回ですね。あれはいいですよ(笑)。
『ア・イ・シ・テ・ル』のサイン、自分でも絶対やりたいです」―松下奈緒


10月6日に公開される話題の映画『未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』のヒロインとして、そして7月にファーストシングル『Moonshine〜月あかり〜』をリリースした歌手として、またピアニスト、作曲家として幅広い活動を繰り広げている松下奈緒さん。
そんな松下さんに映画の見どころ、撮影時のエピソード、そして自身の「未来予想図」を語ってもらった。



ドリカムの名曲「未来予想図」「未来予想図U」が、今、素敵なラブストーリーに

松下奈緒

 見送るクルマが角を曲がる。そのとき点滅するブレーキランプ、5回。それが「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン。
  今もなお多くの人たちの共感を得ているDREAMS COME TRUEの名曲『未来予想図』『未来予想図U』で描かれていたシーンが、素敵なラブストーリーになってスクリーンに登場する。ヒロインさやかと恋人の慶太、それぞれの夢を追い続けるふたりの恋の行方、そして家族、親子の葛藤……。誰にとっても身近な日常のできごとをナチュラルな感覚で描いた映画『未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』は、世代を超えて共感を誘う心温まるストーリーだ。

  ヒロインのさやか役を務めるのは、多彩な活動で大きな注目を集めている松下奈緒さん。昨年公開された『アジアンタムブルー』に続き、映画出演は本作が2作目となる。
「はじめて台本を読んだとき、観てくださる人に『恋がしたい』って思わせる映画だなあと思いました。恋愛、仕事、家族や親子との絆……、誰もが普段考えたり悩んだりしていることがらを題材にしていて、いい意味で自然な感じの映画ですね」

  大学生からOLへ、そして編集者へと転職し自らの夢を実現していくさやか。その一方で、恋人慶太との関係に悩み、仕事に悩みつつ成長していく。そんなさやかの姿は、松下さんにどう映っていたのだろう。
「さやかは意外に気が強くて、人に見えないところで泣いたり悩むタイプの女性です。芯が強くて、決めたことを守るというという部分は自分と似ているかなあと思いました。そして自分のやりたかった新しいことに対して、怖がらずに自分を変えていけるさやかが私は好きですね。慶太を強引にスペインに送り出すシーンは、さやかの強さが一番出ているところだと思うんですけれど、結構大変でした。共感できる部分はあるんですが、自ら別れを切り出すようなことは言えないという自分がどこかにあったりして。もちろんそれは愛情の裏返しなんですけどね」

印象的なシーン、演技へのこだわりそしてロケ地でのエピソード

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 出会い、学生時代、そしてそれぞれの道へ踏み出すふたり、転身、そして……。さやかと慶太を中心に繰り広げられるストーリー、そのエピソードのひとつひとつが観ている人ひとりひとりの“あの時”と重なり合う。そんな映画の中で、特に印象に残っているシーンをあげてもらった。
「それはもう、ブレーキランプ5回ですね。あれはいいですよ(笑)。“未来予想図U”の曲が出て20年近くたちますけど、古さをまったく感じさせないというか、今でもぜんぜんOKじゃないかなと思いました。今まで経験はないですけれど、『ア・イ・シ・テ・ル』のサイン、自分でも絶対やりたいですね。それからヘルメットを5回コツンと合わせるところももちろん。“未来予想図”の歌詞が映像になる部分は、すごく私自身楽しみにしてました……」

  10代後半から30歳までの約10年間の中で、大人の落ち着き、声のトーン、立ち居振る舞いの違いなど、歳を重ねるごとに変化していく部分には気をつけたという松下さん。その一方で、さやかという等身大の女性の日常を演じるということで、役作りよりも雰囲気や流れを大切にしようと考え、監督からも「『演技』をしないでください」と求められたという。
「普通で他愛ないんだけれど特に若い頃、10代のシーン、すごく自然に描けていると思います。演じながら『大学生ってこんな楽しかったっけ』って(笑)。私の場合は音大なので、映画にあるような総合大学のような雰囲気とは少し違うんです。だからすごいそのシーンは普通に楽しんでましたね。それから花火工場のシーンでは、茨城のロケだったんですけれど、はじめて訪れこともあって興味津々で、実際には普通は入れないところに近づいてみたり、火薬に似たものを使って花火を作るところとか、編集者として訪ねるんですが、本当に取材する気分でした」

  慶太の憧れの地、そしてふたりの思い出の地である美しいバルセロナの街並みもこの映画の見どころのひとつ。ロケで滞在した2週間、楽しいエピソードもあったようだ。
「小さな通りのシーンで、監督さんが『オーケー!』って言った瞬間、まわりで見ていた通りすがりの人が拍手をしてくれたりして。これは日本のロケではあまりないことで、うれしかったですね。それからスペイン料理、魚介類や生ハムがおいしかったですよ(笑)。夜は比較的自由に食べに行くので、スタッフの人と『今日は誰と行く』『今日は誰と行く』みたいな感じで(笑)。同じお店に何度も通って、お店の人に覚えられたりして。長期ロケならではの楽しみがありました」

新しい世界への挑戦! 7月、「Moonshine〜月あかり〜」で歌手デビュー

松下奈緒

 8月には新たな映画の撮影が始まった松下さんだが、女優としてだけでなくミュージシャンとしての仕事にも多忙を極めている。ピアニストとして昨年10月にソロアルバム『dolce』をリリース、7月にはシングルCD『Moonshine〜月あかり〜』をリリースしてボーカルデビューも果たした。「歌手」という新たな世界に一歩を踏み出したことで、自身の中で変化してきた部分もあると語る。
「今までずっとピアノという楽器を演奏するという立場だったのですけれど、歌を歌うということはやはり違いますね。一行の歌詞をすごく意識して、感情を入れて歌いたいと思うし、その歌をすごく大事に考えるようになります。そのことが聴いてくださる方に伝わって欲しいし……。台詞と同じように言葉を使って表現するわけですから、平たんに歌ってしまうとすごく嘘っぽくなるのが怖いなあと思います。気持ちを込めるということの大切さをあらためて実感しています。それから歌うことで自分の声質について気付いたりもしました。台詞で声を出すときの使い分けについて考えたり、すべてそういうふうにとらえるようになって……」
  歌手としての活動は、ピアニストである松下さんにどのような影響を与えているのだろうか。
「歌を歌っているとハーモニーを大事にするというか、そういう意識が勝手に働きます。そんな感覚でピアノに向かうと、やっぱり歌うように弾こうという気持ちになってきたなって思いますね。昔のアルバムを聴いてみると、今と全然感覚が違っていますし、弾き方が変わってきたということはあります」
  松下奈緒さんはどんな「未来予想図」を描いているのだろう。
「今、女優として演じ、ピアノを弾き、歌を歌っていますが、10年、20年たってもそれを続けられること。それが私の『未来予想図』ですね。10年前は今の自分を想像することができませんでしたけれど、なりたいという思い、憧れはありました。“未来予想図U”の歌詞にもありますけれど、心に描くと思ったとおりに叶えられていく、あれは本当に嘘じゃないんだなあと、夢を追わなければ何も始まらないなと感じますね」

  映画『未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』は、この秋10月6日から全国ロードショーが始まる。最後に、ファンに向けてこの映画の見どころ、魅力をうかがった。
「『未来予想図』の中には、恋人や家族、仕事など、誰もが過ごしている普通の日常がたくさん出てきます。仕事と恋、仕事と家族……。いろいろな葛藤がたぶん皆さんにもあると思うんですけれども、この映画を観て、いちばん大事なものは何だろうって考えたり、忘れていた何かを思い出したりして、温かい気持ちになっていただければうれしいですね」

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写真=松岡茂樹 取材・文=井上晋 スタイリング=佐藤美仁子 ヘアメイク=佐藤寛
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