この映画、完成度もテンションも高すぎです!」
―小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之
日本映画界に欠かせない5人の実力派俳優が、力の限りに演じきったサスペンス&コメディ『キサラギ』。
ハイテンションだった撮影現場のノリもそのままに、笑って泣ける真相究明劇の、魅力の真相は?
読みごたえのある短編のようなワンシチュエーションドラマ
家元、オダ・ユージ、スネーク、安男、イチゴ娘。おかしなハンドルネームを持つ5人の男たちが、ある日、建設中のビルの一室に集まった。そこで行われたのは、D級グラビアアイドル・如月ミキの一周忌追悼パーティー。ファンサイトを開いている家元の呼びかけで、謎の自殺を遂げた如月ミキの思い出を楽しく語り合おうとオフ会が開かれたのだ。
ぎこちなくも和やかな雰囲気のなかでパーティーは始まるのだが、話題が如月ミキの死におよぶにつれ、だんだん雲行きが怪しくなっていく。そして、「如月ミキは自殺なんかしていない」と誰かが口にしたとたん、物語はミステリアスな様相を呈していくのだ。
カメラは回想シーンを除けばすべてこのマンションの一室で回っているという、ワンシチュエーションドラマならではの緊迫感につつまれながら、5人のハイテンションな演技と台詞に笑いが込み上げ、思いも寄らないストーリー展開にぐいぐいと引き込まれていく。
オダ・ユージを演じるユースケ・サンタマリアさんは、この映画『キサラギ』の面白さはひとえに脚本の素晴らしさにあるという。
「まるで短編小説のような読みごたえのある脚本でした。1冊の読み物としての完成度が高く、非の打ち所がなかったですね」
不気味で何を考えているかわからない男の役を演じる香川照之さんも脚本を絶賛する。
「芝居に入るとっかかりがきちんと設けられているというか、台詞が立てやすいというか。よく練られた脚本だなと思いました」
とかく退屈になりがちなワンシチュエーションドラマだが、それをまったく感じさせないのは、5人の超個性的なキャラクターによるところも大きい。他の4人が黒い喪服で来たのにひとりだけラフなセーターを着てきて浮いてしまう安男を演じる塚地武雅さんがいう。
「映画の役柄って、ふつうは最初から最後まで同じキャラクターですが、『キサラギ』は5人のキャラが途中で突然、変貌してしまう。演じていてそれが面白かったですね。サスペンスの要素も入っているんですが、実はかなりクオリティの高いコメディ映画。こんなに笑える映画は他にないんじゃないですか」
オフ会を楽しく盛り上げようとみんなのご機嫌を伺いながら場を取り仕切る家元役の小栗旬さんが、お気に入りのシーンを思い出しながら笑顔で話してくれる。
「香川さんのイチゴ娘が最初に部屋に入ってくるシーン、あそこ最高ですよね。スタスタって、バケツ持って部屋の奥まで歩いてって」
「イチゴ娘という衝撃的な役名、しかも頭にカチューシャをつけるという誰よりもおいしい役どころ。力こぶ入りましたよ」
まさに怪演を見せたイチゴ娘というキャラクターに、香川さんもご満悦の様子だった。
異常な盛り上がりのなか5人の結束で乗りきった撮影!
『キサラギ』の撮影は昨年の8月に行われた。激しい暑さのなか、常に5人がひとつの部屋で芝居に打ち込むハードな現場。テンションはおのずと高まっていったようだ。
「リハーサルの段階で『大変な撮影になるぞ』と思いました。『これはやばいぞ』と。5人で乗りきるしかないという覚悟が生まれましたね。だから撮影初日から一気に盛り上がりました。なかなかないですよ、こういう現場」と、ユースケさんが現場の様子を振り返る。
「ひとつの部屋での撮影がつづくから逃げ場がないし、台詞の量も多い。正直、はじめは演じきれるかなと不安でした」というのは、高いテンションで4人の台詞に絡んでいくスネーク役の小出恵介さん。そんな小出さんの演技を、香川さんは高く評価する。
「スネークは他の人の会話にテンポよく合いの手を入れなきゃいけなかったから大変だったはず。他の人はスネークのことなど気にせずに台詞を喋っているわけだから」
5人は力を合わせ、互いにフォローしあいながら作品をつくりあげていったのだが、真剣勝負であるがゆえにコミカルな場面で笑いが吹き出したりもしたとユースケさんがいう。
「とにかく笑いの絶えない現場でした。みんなハイになっていたから何でもないことで突然、火がついたように笑ってましたね」
「塚地さんが『誕生日』を『さんのうび』って言い間違えて、それでみんな大爆笑しましたよね。監督もスタッフも、あの時は全員笑ってました」と小栗さんが笑うと、香川さんもつられて笑いながらいう。
「テンションは高いし、体力的にも疲れていたから、台詞を間違えたりして笑い出すともう誰も止められなかった。爆笑の嵐。それぐらい5人がひとつになって撮影に挑んでいたんですよ。この5人で『一緒にやりとげたい!』って本気になって演じていましたからね。…まあ、それにしても大変でした。あの部屋から一歩も出られないんだから。塚地くんは服を買いに外へ出たり、ウンコもらしてトイレに行ったりしてましたが」
「『塚地くんが』って言うとほんとに僕がもらしたみたいじゃないですか」と塚地さん。
「あ、ごめん。安男がね」
もちろん取材中も爆笑の嵐。
「芝居の“動き”をみんなでつくったりするのも楽しかったですよ」
ユースケさんが笑いをこらえながら話をつづけると、香川さんが受ける。
「そう。いっさいト書きのない台本で、どこでどう動くかは何も書かれていないんですよ。台詞に合わせてどう動くかはすべて現場で、佐藤監督と5人でつくっていったよね」
「ワンシチュエーションで動きはつながっているんですが、逆にモノがつながらない場面がありましたよね。軍手がずっと床に落ちていて気になったり」と塚地さん。
「いつかあの軍手、芝居に使ってやろう、みたいな(笑)。そういう小道具がないか、みんな狙ってるの。そういったサイドストーリー的な部分でも楽しめる映画ですよ」
では、みなさんに質問です。
自分が「如月ミキ」だったら?
『キサラギ』は、如月ミキのファンサイトの掲示板で知り合った5人のファンが集まる場面から始まる。ではもし、実際に自身のファンの方々が映画と同じようなオフ会を開催したら、と5人に尋ねてみた。
「とにかく仲良く収めていただきたいですね」笑顔で答えたのは、小栗さんと小出さんと香川さん。ユースケさんもつづける。
「ああはならずに、楽しく開いてください」
塚地さんは、「映画みたいなオフ会だったらえらいことになりますよね。でも、それこそこの映画を観た方で『面白そう。オフ会やろうか?』と実際に開く方もいそうですよね」
「オフ会で男女が出会って結婚したという話も聞くし、もしそうなれば、俳優の仕事も誰かの人生に関わっているんだなとうれしく思いますね」と、ユースケさんは微笑んだ。
アイドルオタクや秋葉原が話題になっていた2003年頃、インターネットのオフ会を映画にしたら面白いだろうという発想で映画づくりが始まった。しかし『キサラギ』は、オタクの世界を知らなくても誰でも存分に楽しめる完成度の高い映画に仕上がっている。
「とにかく面白い。オダ・ユージ役をユースケ・サンタマリアが演じているということからして。『なぜ、オダ・ユージなんだ!?』っていう(笑)。そういうディテールも面白い」
「この5人が何かの縁で集まって、ワンシチュエーションという高度な芝居をやっている。きっと他の俳優さんたちがこの映画を観たら、『出たかったな俺、この映画!』と悔しがる方もいるんじゃないかなと思いますね」
「最後のシーンは泣けますよ。イチゴ娘がカチューシャをあげるところ」
香川さん、ユースケさん、小出さんがいうように、誰が観てもおなかの底から笑えて、最後にホロリと感動を誘う『キサラギ』は、6月16日(土)より渋谷パルコパート3のシネクイントをはじめ全国劇場で公開される。5人の奇妙なオフ会に、ぜひ皆さんも参加して!
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