史上初の焼肉ムービー『プルコギ』
「本気で殴るからどうしようかと」・・・松田龍平
「嘘っ! 手加減したつもりよ」・・・山田優
究極の焼肉をめぐる宿命の対決を描いた映画『プルコギ』。
笑いあり、感動ありの物語にお腹も心も満たされる、これぞ、まさに食のエンタテインメント・ムービーだ! 主人公を演じる松田龍平と山田優が見どころや撮影秘話を語り、そして、大好きな焼肉談義に花を咲かせた。
焼肉はエンタテインメント! 『プルコギ』の現場も大賑わい
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男も女も、大人も子供も、芸能人も一般人も…みんなが「大好き!」と答えるのが焼肉だ! 網や鉄板の上で肉が焼ける音、立ちのぼる煙と食欲をそそる匂い、頬張れば口の中にあふれる肉汁。そして何よりも、気の合う仲間と楽しく笑顔でワイワイと話を弾ませながら食べるという心温まるひととき。そんな、食のエンタテインメントと呼べる焼肉が、ついに映画となってスクリーンに登場する。タイトルは、『プルコギ』。韓国語でプルは「火」、コギは「肉」という意味で、つまりは「焼肉」というそのものズバリのタイトルなのだ。
町はずれの古びた焼肉店・プルコギ食堂の厨房で、頼りなさげに背中を曲げながらせっせと肉を仕込む主人公・タツジを演じるのは、若手実力派俳優として活躍中の松田龍平さん。クールでミステリアスな役柄を演じることの多い彼にとって、タツジのキャラクターを演じることは新鮮でもあると同時に、チャレンジングな面もあったようだ。
「僕は飲食店で働いたことがないので、タツジのように料理をつくったり、『いらっしゃいませ!』と威勢よくお客さんを迎えるというような経験ははじめて。そういうノリを演じるという面では新しい挑戦でしたね」と、これまでとは一味違ったコミカルな役に挑んだ経験を振り返る松田さん。「面白かったですよ、焼肉屋さんの店員を演じるって。プルコギ食堂が小倉にあるという設定なんですが、小倉弁で話すのがけっこう難しかったですね」
一方 “焼肉の達人”と呼ばれる韓老人(田村高廣)の孫・ヨリを演じたのは山田優さん。幼なじみのタツジと一緒に厨房に立ち、プルコギ食堂を切り盛りする元気な看板娘だ。
「ヨリは、活発なアネゴ肌の女の子。私にはタツジのような弟がいるので、ふだん家で弟と接しているような感じで演技しました」
映画の中で、ヨリは頼りないタツジを殴ったり、蹴り飛ばしたりして元気づけているが、あれもふだんの山田さんなのだろうか。
「いえいえ、あそこまでは激しくないですけど」と首を横に振って笑う。
「山田さん本気で殴るから、どうしようかと思いましたね」
すかさず松田さんが笑いながら横槍を入れる。
「嘘だよぉ! 手加減したつもりだけど」
「背中から跳び蹴りを食らわされるシーンでも2、3回、思いきり蹴飛ばされたし」
「そうだっけ?」
「でも、本気で蹴飛ばしてくれたからリアクションもとりやすかった。・・・まあ、リアクションというよりもただ普通に吹っ飛ばされただけだけど」
松田さんがおどけてみせて、ふたりは楽しそうに笑った。まるで久しぶりに再会した幼なじみのような仲睦まじい雰囲気だ。ロケ現場でもさぞや和気あいあいと撮影が進んだのだろう。
田村高廣さんに支えられた
プルコギ食堂でのロケ撮影
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小倉弁が難しかったと松田さんが言うように、メインの舞台となるプルコギ食堂は北九州の小倉に実在する食堂で、撮影の間だけ借り切り、プルコギ食堂に改装してロケを行ったそうだ。だから映画では、主人公のタツジも、ヨリも、韓老人もみな小倉弁で会話する。その小倉弁による話口調が、物語に温かいトーンを生みだしている。
松田さんは、印象的なロケ地としてそのプルコギ食堂をあげた。
「すごくいい感じの食堂です。場末の古びた焼肉屋さん、というたたずまいで。あの焼肉店のなかでの撮影がいちばん多かった。夜の撮影も、炭火の煙が本当の焼肉屋さんみたいにいいムードをかもしだしていましたね」
山田さんにもロケ地で印象に残っている風景があると言う。
「私は、プルコギ食堂の前の海に架かっている赤い大きな鉄橋。あの風景、今でも目に焼きついてます」
さらに小倉でのロケが思い出深くなっているのは、今作が惜しくも遺作となった故田村高廣さんの存在だ。
「はじめに台本を読んだときに思い描いていた韓老人よりも、もっと優しい“おじいちゃん”という空気をまとった方で、田村さんのそばにいるだけで芝居に気持ちを入れられたし、韓老人と師弟関係にあるタツジを演じるにも強く感情移入することができました」
松田さんは現場での田村さんの存在の大きさを振り返る。また、山田さんも田村さんに対する思いを語った。
「田村さんは映画の中ではヨリのおじいちゃんなのですが、本当に自分のおじいちゃんみたいに思える、気さくで優しい方でした。寒い日に外で撮影していて、カットがかかると『寒くない? 早くストーブにあたりな』って笑顔で声をかけてくださったり。現場全体のことを思いやりながら芝居されていたのが心に残りました」
その韓老人の台詞に、「仲良くなるには一緒に飯を食うのがいちばんじゃ」というものがある。きっと田村さんを含めキャストやスタッフで撮影前や終了後に「みんなで一緒に焼肉でも食べに行こうか」と街へ繰り出したのでは?「残念ながらなかったんですよ。時間的にも厳しかったし」と山田さん。それを受けて松田さんが笑みを浮かべながら答える。
「撮影中に肉はけっこうたくさん食べてたんですよ。撮影で焼いた肉をね。だからみんな、撮影後には、 "肉はもういいかな" と(笑)」
「煙もたくさん吸い込んだしね」
「そうそう。換気扇を回せなかったんです、音が入っちゃうから。だから肉を焼く煙が店内に常に充満していて。ここから上は(と、手で胸のあたりを示す)煙という状態。みんなしゃがんで酸素を補給する、みたいな(笑)」
「だから、撮影が終わってからさらに焼肉の煙を吸いたいとは・・・ちょっとね」と、ふたりが笑顔で思い出すほど焼肉三昧だった撮影現場。一緒に食事に行かなくても、プルコギ食堂の焼肉をつまんで心をひとつにしていたようだ。その、韓老人の優しくも厳しい教えのもとでタツジとヨリが心を込めて焼き上げるシズル感たっぷりの焼肉を、ぜひスクリーンで堪能してほしい。
渋谷は流行の最先端、そしてやっぱり焼肉の街?
2007年度ベルリン国際映画祭の "食で楽しむ映画" 部門に正式出品された焼肉ムービー『プルコギ』は、渋谷パルコパート3のシネクイントをはじめとする劇場でゴールデンウイークより公開される。ファッションモデルとしても活躍している山田さんにとっての渋谷は遊びのショッピングのスポットでもあると言う。
「流行の最先端の街。いつも若い人たちがたくさん集まっていて賑やか。よく遊びに来ますよ、渋谷には。パルコのパート2で洋服を買ったり」
松田さんはこんな『プルコギ』的な情報をひとつ。
「渋谷のドンキの近くにおいしい焼肉屋さんがあって、たまにそこへ食べに行きます」
そうして話題はまた焼肉に。ふたりとも焼肉が大好きなのだそうで、自分なりの "こだわり" があるのだろうか。
「僕は、サンチュに肉とごはんを挟んで一緒に食べます。これ、韓国式なんです。子どもの頃、家族で焼肉を食べるときにそうやってサンチュに包んで一口で頬張っていたのを覚えていますね」
懐しそうに思い出を話してくれた松田さん。すると「一口で?」と山田さんが目を丸くして聞く。
「そう、ガブリと。それがおいしいの」
「確かにおいしそうね。私は・・・普通に焼いて食べてますね。ごはんと一緒に食べるのが好きかな」
「焼肉丼大盛りって感じですか?」
「違うよぉ(笑)。すぐちゃかすんだから」
タツジとヨリの焼肉談義は楽しくて、いつまでもつきない。
誰かと一緒に『プルコギ』を観て、おいしい焼肉を食べに行ってはいかがだろう? 焼肉をもっと好きになるのはもちろん、愛にあふれた人間ドラマにひとしおの感動を味わえば、今よりもいっそう仲良くなれるはずだから。 |