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ゴスペラーズ
歌うことこそ僕らのクリスマス。昔も今もね
ゴスペラーズ
ゴスペラーズが待望のニューアルバム『Be as One』をリリースした。
デビュー12年目の揺るぎなさもあり、新たな坂を上るための第一歩ともいえる、素敵なクリスマスプレゼントだ。



ニューアルバム『Be as One』でひとつになる、それぞれの思い。

黒沢薫
黒沢薫

ツリー、雪、ベルの音、恋人たち…クリスマスムードに包まれるこの季節、ゴスペラーズのニューアルバムがリリースされた。きらめくイルミネーションとともに街を彩っているアルバムのタイトルは『Be as One』。ひとつになろう。
「5人それぞれが自由に作った曲を持ち寄り、その数十曲の中からみんなでセレクトしつつ、1枚のアルバムに仕上げました」
 北山陽一さんが語ったその制作方法は、まるでデビュー前のアマチュアバンドが自分たちのアイデンティティを確立しようとする作業のようだ。しかし、そこには早稲田大学のアカペラサークル時代から現在に至るヴォーカル・グループ“ゴスペラーズ”の原点を、改めて確かめ合おうとする強い意志が感じ取られる。
 アルバムに収められた楽曲は、5人がそれぞれの思いを主張しながら選んだだけあり、バラエティに豊んでいる。
「僕のオススメは『Simple Words』という曲。2年前にアジアツアーを行った時、短いフレーズでもいいから僕たちを見に来てくれた人たちと一緒に歌えたらいいなと思い、この曲を作りました。“「あいしてる」 それはSimple Words”というフレーズを、いろんな国の言葉に替えて歌ってほしいですね」
 あえて1曲を挙げるとすればと、安岡優さんは言う。村上てつやさんが挙げる曲は『Love has the power』。
「全米ゴスペル界のカリスマ的存在のカーク・フランクリンに書いてもらった曲です。カークはゴスペルの王道を行きながらも、例えばクラブで踊ってるキッズたちに『このドラムかっこいい?』と聞けば、『かっこいい!』と答えが返ってくるような音を作る人で、王道と最先端の音楽を巧みに融合させています。レコーディング中も“いい兄貴”という存在で、『ここのハーモニーはこうしないか!』と熱く接してくれましたよ」
『The Ruler』を挙げたのは酒井雄二さん。
「音数を減らして、ヴォーカリストが発する言葉以外の部分が透けて見えるような曲になっています。さらに、音階も踏み外しながらぐにゃぐにゃと、古典芸能の文楽リスペクトで…言葉と歌の中間を表現してみました。『聴いたことねえ!』と面白がってもらえれば幸いです」
「たくさんあるのですが」と選びあぐねていたのは黒沢薫さん。
「1曲だけなら『陽のあたる坂道』。僕らがまだブレイクする前、もっと上に行けるんじゃないかと夢を追いかけていた頃に作った曲です。“この坂を上ったら 二人どんな景色が見えるだろう”という歌詞は、恋人たちのことでもあるし、僕ら5人のことでもあり、応援してくれているみんなのことでもある。新たな坂を上ろうとしている今、その思いを心に留めておきたくてリメイクしました」
「僕は『Let it go』。曲調も、メロディも、バックトラックも、こんなに明るいパーティーチューンはこれまでのゴスペラーズにはなく、新しい挑戦。全員でリードを歌い継いでいるのでライブでもすごく盛り上がりそう」というのは北山陽一さん。
 この『Let it go』は、パルコのクリスマスキャンペーンのCFソングとして、歌詞を英語に変え、曲もリメイクしたバージョンでON AIRされている。北山さんは、「みんなのウキウキした笑顔を思い浮かべながら歌いました」とニコリ。安岡さんも、「CFのイメージにぴったり。クリスマスの華やかな雰囲気や、女の子たちの『何を着よう? 何をプレゼントしよう?』というワクワク感をイメージしています」
 パルコのCFを見てこの曲を聴いたら、部屋でじっとしてないでクリスマスの装いに着飾って出かけたくなるはずだ。



「クリスマス?学生の頃はいつも渋谷の街角で歌っていましたね」

安岡優
安岡優
北山陽一
北山陽一

「学生の頃はよく渋谷でストリートライブをしていました」と、クリスマスの思い出を尋ねると安岡さんが昔を懐しむように答えてくれた。「イルミネーションで街が輝いて、公園通りにたくさんの人があふれている…そんなクリスマスこそ、僕らにとっては“ストリートライブ日和”だったから、『さあ、歌いに行こう!』と渋谷に向かっていましたね」
「そうだね。僕らには“歌う”ってことが一番のクリスマスの過ごし方だったね。僕らの歌で恋人たちが寄り添って、ハッピーな気持ちになってくれると嬉しかったです」
 黒沢さんにとってもクリスマスは「歌う日」だった。
「僕らもクリスマスの風景の一部だった。クリスマスツリーみたいなもの(笑)。聴衆のカップル率が高まってくると、ラブソングをたくさん歌ってムードを盛り上げたり」
 安岡さんはカップルの盛り上げ役として、クリスマスには特別の選曲をしたという。
「パルコ劇場でもライブをしましたね。華々しい気持ちになったのを覚えています。『パルコ劇場でやるんだよ』って」
 酒井さんにとっても渋谷でのクリスマスは格別の思い出になっている。
 いまもクリスマスが近づくと、ゴスペラーズの歌はファンだけでなく多くの人々からリクエストを集める。ゆえに、クリスマスシーズン、彼らのスケジュールはほとんど仕事で埋まり、プライベートでゆっくりと過ごす時間はない。でも、自分史上最高のクリスマスプレゼントはそれぞれの胸に刻まれている。
「シャンパンとグラスをプレゼントして、一緒に乾杯したことが一番の思い出です」と安岡さんが言えば、「学生の頃、彼女と一緒に食べた5000円のクリスマスディナーかな。あまりお金のなかった当時の僕としては、かなり頑張りましたよ(笑)」と村上さん。
 伊勢海老とアワビのカレーライスが最高のクリスマスだったと言うのは黒沢さん。
「ある店で、カレーに合うワインをたくさんサービスしてくれるように、知り合いが事前に店の方に頼んでおいてくれたんです。おかげでカレーを食べ終わる頃にはかなり気持ち良く酔っぱらっちゃってました(笑)」
 心温まるエピソードを語ったのは酒井さん。
「幼い頃、サンタクロースなる人物が枕元に置いていったスケッチブックとクレヨン。あの贈り物のおかげで絵が好きになりました」
 北山さんはケーキに最高の思い出がある。
「僕はじつは何年も食事制限をしていて、乳製品を摂らないんです。なので、ケーキを食べたことがなかったんです。そこで、ある人があちこちのケーキ屋さんを訪ね歩いてパティシエに直談判し、乳製品を一切使わないケーキを作ってもらって、僕にプレゼントしてくれた。あの時は本当に嬉しかったですね」

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写真=海保竜平 取材・文=松井健太郎 スタイリスト=奥村嘉之(a style) ヘア=刈込トモミ メイク=池原幸恵
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