ハモンド・オルガンをギュインギュインいわせ、インディーズシーン、ライブハウスシーンを大いににぎわせてきたオルガン・インストバンドYOUR SONG IS GOOD。スカ、ファンク、カリプソなどをYSIG流に咀嚼した文句なしに踊れるナンバーは、音楽のジャンルを越えて熱烈に支持されている。
「必要以上のアピールが大事。やりすぎくらいがちょうどいい」
 |
7月5日にリリースされた彼らのミニアルバム『FEVER』は、前作のフルアルバム『YOUR SONG IS GOOD』から1年9カ月ぶり、しかも結成9年目でのメジャーリリースとなった。
「『FEVER』はドタバタ進行で、すごくあわてて作りました。制作期間は実質1カ月半。1年7カ月間はライブなどで何かと忙しく、単独音源には手がつけられない状況でした」(サイトウ / Or・リーダー)
「CDの発売日は、嫁さんと夜中、近所に寿司食いに行きましたよ。メジャーデビュー記念に何かやっておこうと思って」(ヨシザワ / G)
“メジャー”は音楽を志す人たちにとって、ある意味ひとつの目標だが、彼らにとっては今までの延長線上での出来事。6人のメンバーのうちシライシ(G)とタカダ(B)は、サラリーマンとの二足の草鞋を履いているというから驚きだ。
「最初からプロになろうと思って結成したわけじゃないですからね。音楽をやっていく途中にひとつの選択肢があって、新たなチャレンジとしてこっち(メジャー)の道へ行ってみようかと」(サイトウ)
その伏線となったのが、昨年出演した『FUJIROCK FESTIVAL'05』。午前中に約1万人を魅了した奇跡のライブで、ひとまわりもふたまわりもスケールアップした。
「『FUJIROCK』本番前に始めてゲネプロをやってみたんですけど、そうしたら自分たちに足りないところが見えてきて、アピールするところでもっとマックスがあるだろうってことになった。必要以上のアピールって大事なんですよ。やりすぎぐらいがちょうどいい。必要以上にやりすぎておかしくなってきている人もいるけど(笑)。とにかくライブの引き出しが増えました」(サイトウ)
『FUJIROCK』以外にも夏の大型野外フェスを総ナメにし、バンド全体で観客と一緒に“ワーワーする”スタイルがより顕著になった。
「必死な状況から生まれたスタイルなんです。“とにかく盛り上げなあかん!”っていう。ライブを重ねることによって、自分たちのスタイルが進化している感じはありましたね。だから、このタイミングでアルバムを出せたことはよかったと思います」(サイトウ)
ライブでの進化の跡を記し、現在のYSIGを如実に語っているのが『FEVER』なのだ。
「“やっぱり俺たちはこうだったんだな”っていう結果が今回の作品」(サイトウ)
「これまで一歩ずつ歩んできた中の、大きめのストライドの一歩が『FEVER』」(ヨシザワ)
南向きな楽曲はもちろんのこと、タイトルからジャケットに至るまで、彼らの遊び心とキャラクター、ユーモアとセンスがギュッと凝縮された、どこから切っても“YSIG印”な1枚。この夏、頭から離れなくなりそうなハッピーな楽曲だ。
沖縄でのPV撮影は命がけ 海中に潜っての演奏
『FEVER』収録曲であり、代表曲のひとつでもある『SUPER SOUL MEETIN'』のプロモーションビデオ(PV)も、楽曲に負けず劣らずスゴイ! PVで彼らが楽しげに演奏している場所…それは海中だ!!
「小島淳平という男がいまして、ファーストアルバムの時にもPVを撮ってくれたんですけど、僕とモーリス(ヨシザワ)の学校の同級生で、今はCM界でブイブイいわせていますが、その勢いを我々にぶつけてきたのが今作です。“じゃあ、潜ろうか”と言われて潜らされました(笑)」(サイトウ)
撮影は吐き気をもよおすほど過酷を極めた。
「沖縄で撮影したんですけど、3mくらいの水深を想定していたのに実際はすごく深くて。1回潜ったら40分はあがれないんですよ。だから、しんどくても逃げられない。楽器を沈めて、体が浮いてきてしまうので重りをつけ、レギュレーターと水中マスクをつけて演奏しました。最初の絵コンテなんてもっとひどくて、崖から飛び降りて、海に潜って海底に着地するっていう…」(サイトウ)
「命がけでしたよ(笑)」(タナカ / Dr)
撮影後、発熱、下痢まで発症したというが、PVの彼らはとても楽しそうで、苦しみを喜んでいるようにさえ見えてしまう。これもYSIGのキャラクターだからこそなせる業に違いない! |